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ライ麦細工の工房訪門記

今年のチェコのクラフトマン訪門先は、ライ麦細工伝承者、ミロスラバーさん。ミロスラバーさんの住むチェコ東部モラビア地方のブロデク村に向かいました。

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ブロデク村はプラハから高速を飛ばして4時間弱の所ですが、途中いくつかの町を経由して到着したのは午後3時。たどり着いたミロスラバーさんの工房のドアをノックします。

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通された工房には美しい麦わらの商品が並んでいました。

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最初にチェコと日本の文化の架け橋になるのが私たちの夢であること、日本に麦わらの商品を紹介したい事など、訪問の目的を伝えます。やや硬かったミロスラバーさんの表情も徐々に和らぎ会話も穏やかに進みはじめたところで、少し編んでみてくれませんかと頼むとにこやかに応じてくれました。笑顔が素敵な美人です。

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動画はこちらへ
  https://youtu.be/VKEYJo88iQI

今回選んだのはこれらの商品。バック、かご、アクセサリー、オーナメントなど。どれも軽く、光沢が美しいものです。麦の香りが郷愁をそそります。これらのライ麦細工はネットショップミラベルカでお求め頂けるよう準備いたしました。

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中でもこのランチョンマット(41 cm×32cm楕円)は、個人的にもう10年以上前から愛用しています。安定感があって、美しく、使いやすいサイズ。また丈夫なものなので、いち押しの商品です。

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素材は、麦の中でも茎の長いライ麦。日本ではなじみの薄い麦だと思います。

ライ麦は黒パンやビール、ウイスキーの原料となり、丈が1.52.5メートルにもなります。ブロデク村に来る途中は麦畑が広がっていましたが、刈り取られた麦わらは丸く巻かれていました。主に家畜の飼料になるそうです。

ミロスラバさんは自らライ麦を育て、根元20㎝ほどのところで刈取り、外皮をむいて材料を準備します。これに一番手間がかかるそうです。

ミロスラバーさんの住む東モラビア地方では、麦わらは、ザルや籠、ミツバチの巣箱など様々なくらしの用具を作る素材として活用されてきました。彼女は母親からこの麦わら細工の技術を受け継ぎ、クリスマスやイースター用の飾りやバック、ランチョンマットなど、娘さんと共に現代に受け入れられる商品をメインに作り続けています。

ライ麦について詳しくはこちらへデジタル植物写真集にリンクを張らせていただいています。

下の写真は、家族総出で刈り取った麦を処理している所です。(出典:チェコ文化省NULK

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ライ麦は穂を取り、上部の細い部分と下部の太い部分に分け、漂白して乾かします。これでクリスマスオーナメントやアクセサリーなどを作ります。

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外皮をむき漂白された麦わら。向かって右が茎の上部、左が下部。太さによって作るものを変えます、

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バックやカゴなどは、麦わらの紐を木型に合わせて縫って作ります。

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ザル用の木型。
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バッグの木型。木型はいずれも母親の代ものだそうです。

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ミロスラバーさんによると、麦わら細工だけでは生計は成り立たず、イースターエッグやハギレでマットなども作り、各地のイベントにも出店しているということです。現実は厳しいかもしれませんが、娘さんと共にこれからも伝統工芸を守り続けていってくれることを祈りつつ別れました。

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後記:運転手と通訳をしてくれたヤン君に深く感謝します。


ネットショップミラベルカへ















by mirabelka | 2019-08-20 22:09 | ライ麦細工

チェコ・東欧・北欧の手仕事や暮らしのご紹介。このブログはクラフトショップ ミラベルカのスタッフが書いています。


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