魚のウロコの刺繍を訪ねて
2016年 09月 03日

今回も出会いをコーディネートし車で私たちをフルボカ―に連れてきてくれたのは親戚のカレル。通訳は娘の千草。そして同行の子供達も増え総勢8人になりました。ルドミラさんは笑顔で手芸用品が詰まった彼女の工房に私たちを招き入れ(さすがに部屋はいっぱいでした)、魚のウロコ刺繍の出会いから、再現させた経過を快活に話してくれました。

ルドミラ談:
魚のウロコを使った刺繍には約200年の歴史があります。私は若い頃、古い民族衣装の修復の活動をしていました。そのなかで、民族衣装の刺繍に魚のウロコが使われているのを発見したのです。誰もする人がいなくなっていたのですが、文献を見たり仲間の老婦人に聞いたりと、いろいろ研究して復活させました。
ウロコは鯉(写真左)がメインですが、櫛目のあるパーチ(写真右)など、複数の川魚のウロコを使います。

ウロコは、水を替えながら数回洗い、最後に手洗い用の石けんで丁寧に洗います。糊付け(片栗粉)し、布に挟んでアイロンをかけます。こうして処理したウロコは、半透明の丈夫で美しいものです。大きなウロコははさみでカットし、小さなウロコはそのまま使います。ウロコと白い糸と止めの役目もする透明なビーズを使って様々な模様を刺します。



ルドミラさんが伝統工芸士として認定されているのが「魚のウロコの刺繍」なので、そればかりに注目していましたが、彼女の手芸技法の幅は、ボビンレース、ビーズ刺繍、編み物等ととても広く、作っているものも人形やアクセサリー、バック、服など枚挙にいとまがありません。
とても創意工夫に富んだ人で、古い人形の頭部に手足を付け、手編みの服を着せた人形や手芸用品を使った楽しいアクセサリーを見せてくれた時には、思わず身を乗り出す取材陣。


ドアにかかっているパッチワークには、思い出の品々が縫い込まれ、ルドミラさんの手芸人生を物語っているようでした。

現在ご主人の体調が良くないので作る時間がないと言われ、ビロード地ウロコの刺繍が施されている熊ちゃん達など数点のみ譲ってもらいましたが、どれも二つとして同じパターンがなく、楽しみながら様々な作品を生み出しているのが伝わってきます。この熊ちゃん達はミラベルカでお求めいただけます。

彼女から提供されたDVDの抜粋です。魚のウロコの下処理からご覧になれます。
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