繕いのある暮らし
2013年 01月 27日
そんな我が家にある年、はるか遠い国チェコからひとりの若者がやって来ました。彼の靴下はかかとが擦り切れてレース状になっていて、よく見ると糸で丁寧に繕われた跡がありました。こんなになるまで繕いながら履いていることに感心し写真を撮ったのでした。
その後、彼のお母さんに会った時にこの話をすると、「穴は小さいうちにふさぐといいのよ。」と言いながら見せてくれたのがこれ。キノコのような形をした木製の修理専用の道具です。その名はジーベック。チェコ語でキノコという意味で、形もキノコそっくりです。
靴下の穴の部分をジーベックにかぶせ、糸を縦横に交えて穴をふさぎます。日本でも穴をふさぐ時に電球や貝を使うことがあったようですが、ジーベックは穴ふさぎ専用の道具で、専用の糸と共に今でも普通に手芸屋さんで売られています。専用の糸は甘撚りの3本取りのもので色数も豊富。洗濯をするとこの糸がフエルト化し、生地になじむのでゴロゴロしないのです。
チェコのお母さんのジーベックは使い込まれて頭が削れ、家族の靴下やズボンなどの穴を繕ってきた時を物語っています。
我家でも最近は穴があいた靴下は、このジーベックと糸で繕うようになりました。
チェコが資本主義経済に移行してから既に20年あまり。大型スーパーが進出し、何でも手に入るようになっていますが、物が不足していた社会主義時代に培われた、物を修理して大切に使う精神はしっかり受け継がれてることを、このジーベックが語っているように思えるのです。
一方、日本でもあの大きな災害の後、物を大切にという機運が高まっているのではないでしょうか。「繕い」は節約に繋がりますが、それ以上に物への愛着が増し、長く大切に使うことになります。この気持ちが豊かなくらしや自然を育むことに繋がっていくような気がしています。
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